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『「磨き上げた神輿」が新たな祭りの

 幕を開ける』
              ⼭中⼀亨

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山中一

令和4年4月に神輿庫を移転、令和5年は神輿の修繕をおこない勢いを増した『新野睦』。4年ぶりに制限のない祭を迎え、年番を務める『新野睦』の山中会長にお話を伺いました。

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いよいよ、本格的な北澤⼋幡神社のお祭りが帰ってきます!!

今年の年番である「新野睦」会⻑として思うところがあるのでは?

会⻑になったのがコロナに⼊った年だったので、今年で就任して四年⽬です。 昨年は神輿を修理に出し飾りつけを新しくしたので 担ぐことは出来なかったので、台⾞に乗せて町内を廻りましたが…

今年は「いよいよその時が来た」と気合いが⼊っています。

神輿は修繕なさったのですか?

神輿⾃体は本社神輿と同じ時期に作った初代のもので、 年番を迎えるのにあたり、ぴかぴかに磨き上げて貰ったんですよ。

同時に⼭⾞も修繕したのですが、驚きました!

何気なく戻ってきて、⾒てみたら彫り物が凄いんです。

今まで、ほこりにまみれ、隠れていたんで気づかなかったのですが、ぽんと⾞から降りてきたときの第⼀印象が 「えっ、こんな綺麗だったのか!」

ちょうど欄間のような透かし彫りですが、それは⾒事なものでした。

修理しているところを観に⾏ったんですが、 釘⼀本も使ってないから、全部分解して修繕するんですが、 こんだけバラしたら組み⽴てられないってくらい、バラバラに!

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新野睦会の神輿
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お祭りでのお披露⽬が楽しみですね。そういえば、神輿蔵も新しくなりましたね。

南⻄⼝から下りたエグザスが有った所に作りました。線路脇ですね。 あれは、⼩⽥急から借りているんです。

今まであった神輿蔵が⽼朽化してきて、前の会⻑の柏さんが下北沢の商店連合会の会⻑もやっていて、けっこう⼩⽥急の⽅とも仲が良く「下北沢の開発でどこか借りられないか」と相談したら、「じゃあ」と今のところにという事になりました。

移転した神輿庫

ところで、⼭中会⻑がお祭りに関わり始めたのはいつ頃でしょう?

⽗がずっと地元で会⻑をやっていたこともあり、⼩五でもう神輿を担いでましたね。

それから中学になるとクラブとかやってたんで、なかなかお祭りには出られなくなって、 それで⼤学まではちょっと遊んでましたかね、地元離れて(笑)

で、卒業後に、地元に戻るようになり、商店街の⻘年部に⼊りました。

神酒所が商店街の事務所を使うことになっていたんで ⾃然とお祭りと関わりだしたんですね。

当時のお祭りは70 代、80 代の⽅々がバリバリの現役で活躍なさっていて 「こんなんじゃだめだと」とか⾔って、 どちらかというと商店街の⻘年部が中⼼とになって お祭りの形を作り始めたんです。

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山中氏(中央)

やはり新野睦の⼤きな特徴は、

商店街がその活動の核となっている所ですね。

ただ⼀番街には、秋の⼋幡の祭礼の他にも今までにはチャリティー餅つき⼤会や、今でも続く⼆⽉の「天狗祭」、⼋⽉に「阿波おどり」と、⼤きなイベントが沢⼭あります。

北⼝の駅前の商店街には黙っていても⼈は通りますが 、⼀番街までお客が来ないと駄⽬なんで、昔からイベントを開催し頑張ってやっていたんですよ。

前は「阿波おどり」が終わって⼀週間後、次の⼟⽇がお祭りという年もありましてね、

そうするとみんな「阿波おどり」でくたっとしていたり(笑)

⼤変でしたね、イベントの中⼼となるお祭り好きのメンバーは被りますから…

奉納のほうも「阿波おどり」もありますから⼀番街の⽅は⼤変なんですよ、あんまり⼒強く廻るわけにもいかないんですよ(笑)

以前からお伺いしたかったのですが

『新野睦』の「新野」とはどういう意味があるのでしょう?

これは、昔の地名から来ています。

新野睦は下北沢一番街を中心としたエリアですが、その中にピーコックのあった方、北口駅前の通りの突き当たり、田中総代のビルの辺りの『新屋敷』と、昔、お風呂屋さん、栃倉ビルがあった所の上の方に『野屋敷』と2つのお稲荷さんがありまして、その地区の頭文字を合わせて「新野」となったんです。

神輿新調時の写真
思い出の写真
神輿渡御

その後、「北澤八幡の縁日は暴力団排除」ということから、地元を中心としたボランティアによるお店で賑わっていますが、そのお祭りの健全化の動きにもお父さんが関わっていたとか?

実は、平成4年かな? うちの親父がちょうど防犯協会の会長だった時、縁日からの暴力団排除を宮司と神社のみなさんと共におこなったんですよ。

あの時は、大変だった。当時の北沢警察に赴任してきた課長が、我が家に来て「やりましょう」「やりましょう」とさんざん親父と話して、やっちゃったんですよ。

なるほど、祭りの新しい時代を作る先頭に新野睦が大きく関わってきたのですね。

ところで、新野睦さんの半纏(はんてん)にも歴史と共に変遷があったとか?

まずは、ずーっと昔からあったグレーの半纏ですね。

この地域の旧町名である『北沢二丁目』と入っていました。

で、それを変えたのが私が青年部として戻ってきた頃だから、三十年くらい前かな?

「やっぱり新しい地元の半纏を作ろうよ」ということになって、僕達が柄選びをして勘亭流かな?『神輿(みこし)』という字で半纏を作ったんです。

でも、その後に「やっぱり代紋は入れようよ」ということになり、柄はそのままで『新野』と入れたものに変えたんですね。

その時に『神輿』の半纏は睦で下取り、100枚くらい買取りましたかね。

今はそれを、外から来た連中のための貸半纏にしているんです。

だから柄は同じなんだけど、今は「新野」と「神輿」の半纏で担いでます。

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ここにきて新野睦の中心とも言える一番街もだいぶ様変わりして、個性的で話題のお店も沢山誕生していますが… やはり、お祭りの形も年とともに変わってきたのでしょうか?

昔は商店街のお店も従業員を多く抱えていて、その方々もお祭りにたくさん参加して頂き、本当に地元の人達でやっていたんですが、僕が祭りに戻って青年部が中心になってやってきた頃になると、担ぎ手さんが足りなくて…

やっぱり他所から頼まなくてはいけない状態に。

しかし、あんまり格好良くて、上手くて、強そうな会が来ちゃうと地元の連中がちょっとね。良いところになると入れなくなったり…

なので地元の人間を育てたいな、というのが今の思いです。

新野睦のみなさん

でも、若手で活躍している方もいますよね。松岡さんとか、宮田さんとか。

そう、そこら辺は居るんです。ただ、その下の世代がね。宮田君ももう50代ですから。

でも宮田君の子供達は3人とも20代で頑張ってくれてますが。

新野睦のみなさん

世代を繋ぐように親子で頑張ってくれるのは嬉しいですね。

若い方達と言えば、線路跡の新しい街のお店や、今や下北沢の新名物になりつつある古着屋さんとか、新しく下北沢に来た人々にはお祭りに参加してもらえないものかしら?

今、駅前で古着市をやってますよね。あれに参加できるのは商店街の加盟しているお店だけなんですね。

なので、古着屋さんのほうから「商店街に入れさせてください」ってきてますね。

そういうところから、仲間意識が深まり、お祭りの輪に入ってくれるかも。

祭りっていうと、たぶん若い人は外から見て「かっこいいな」「やってみたいな」と思うけれどタイミングとか、どうやって入ったらいいの? とか、ルールが解らないだけだと思うんですよ。

新野睦さんは、その若い人達と祭りを繋ぐ新しい取り組みを始めたとお聞きしたのですが?

今回、新野睦の方では、ボランティアでお祭りのお手伝いする方を募集しました。

そうしたら沢山の方に応募頂き、ちょっと集まりすぎちゃったくらい(笑)

実は、長沼っていうのが惣町睦の方をやっていますが、彼はかねてから『しもきた商店街(振)』の新理事長で、ハロウィン等でボランティアの方を集めていたんですね。その関係で今回、お祭りでも募集してみたんです。

まぁ、その人達がお神輿に残ってくれるかもどうかは別問題ですがね。

駅前での渡御

これは、とても興味深い試みですね。

「お祭りを手伝いたい」と集まった人達ですから、これを入口に入って頂ければ。

まぁ、今回のボランティアは給与等のお手伝いとかで担ぎ手の募集ではありませんが、でも、「ちゃんとした格好してくれば担がせてあげるよ」で良いんじゃないかと。

これをきっかけにお祭りに興味を持って、今後も関わりを持って頂くことが大切なのでは、と思っています。

あと、うちの睦では外国人の方に担いでもらっても大丈夫ですよ。

今までも阿波おどりの踊り手さんに外国人の常連さんもいましたし。

若い層が中に入って頂くことが、祭りの未来にはとっても大事な事だと思います。

この試みは他の睦や秋まつり実行委員会の方でも今後の参考になるのでは。

では最後に今年のお祭りへの意気込みをお願いいたします!

四年ぶりに本格的なお祭りが出来て、しかも今年、年番!

見事に良いときに廻ってきた会長というのもあるので「これは盛大にやりたいな」という思いですね。

まぁ、本当だったら神輿の上に乗りたいくらいです(笑)

そうはいかないんだろうけど「俺の目の黒いうちはちゃんと担げよ」と睨みきかせて整然と担ぎたいですね。四年前に買って大事にしまっておいた飾り綱がやっと今年、本番で使えるので、そこも注目してください!

とにかくぴかぴかに磨き上げた神輿で、一番最初に宮に入れるので、格好良く、整然と担ぎたいですね!

新野睦の宮入り

まさに祭りの新時代、その幕開けとなる今年、新野睦ははじけそうですね、楽しみです。

本日はどうもありがとうございました。

(インタビュアー・文/代四睦総代 伊東雅司 、写真提供/新野睦会)

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